床に置かれたサンドイッチ
ひとり部屋に残された私は、立ち上がる気力もなく床にへたりこんだままだった。
Bはどこに行ったのだろう。
少しして、駐車場からBの車のエンジン音が聞こえ、遠ざかっていった。
どうやら車で出かけたようだ。
昼をとっくに過ぎているので、何か食べに行ったのだろう。
床に座ったまま、回らない頭で考える。
私は相当なことをしでかしてしまったらしい。
Bは私を許す気が無いようだし、これだけ私が気に食わないなら、やはり別れたほうがお互いのためだろう。それはしょうがないことではないか。
私は何回も謝罪をして、最後には土下座までしたのだから、これで許してくれなくても諦めがつくというものだ。
そんなことを考えていると、ほどなくしてBが帰ってきた。
座ったままじっと動けずにいつ私をチラと見ると、少し離れた床の上にポンと紙袋を置いた。近所のパン屋の袋のようだ。
黙ったままの私に、Bは
「お腹が空いているだろう。それを食べるといい」
と声をかけてきた。
私はついBを見た。
Bは携帯を見ながら「食べないと痩せてしまう。それ以上痩せてどうするんだ」
と言った。
私は袋を手に取り、震える手で中に入っていたサンドイッチを頬張った。
何時間かぶりに口にした食事は美味しくて、気づけば私は床に座ったまま泣いていた。
泣きながらサンドイッチを食べる私をチラと見ながら、Bは満足そうな顔をしていた。
…これ、何かのシーンに似ていないだろうか。
そう、刑事ドラマでなかなか自供しない犯人に、取調室の刑事がカツ丼を食わす、アレである!
Bがカツ丼効果を狙ったのかは不明だが、人間食べ物を前にすると何かの糸がプッツンと切れてしまうのは本当だった。
私は泣きながらサンドイッチを食べ終え、本当に自分が悪かった、二度としないとまた詫びた。
……こうして、Bの長い長い説教はいちおうの落ち着きを見せたのである。
いやー、何年も前の話だけど、思い出すだけで疲れますね。
次回は閑話休題として、Bの「モラハラ考察」について書きたいと思います。
…普通じゃないのは分かってたよ!!
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